2012年07月10日

イゾラベーラ


和歌山でいちばん高級なマンションの1階にある。
中にはマンションの住人らしき客も多い。服も靴も立ち振る舞いもなにからなにまで一般ピープルのわたしとは異なる人たち。隣は何をする人ぞ。

ランチメニューにはチキンカレー、ビーフカレー、シーフードカレーの文字がシンプルに並ぶ。横に連ねる値段は千数百円。
高い・・・と思いながら、注文するとしゃきっとしっかりしたサラダが出てくる。とても美味しい。このサラダがついているのなら高くはない。カレーは欧風でありながらスパイシー。口にしたことがない味でとにかく美味しい。完食に近づくとスタッフが「ごはんもルーもお代わりできますがいかがいたしますか?」と言う。え?食べ放題?お腹が膨れたので遠慮するが、カレーが食べ放題ということなら安い。さらに食後には上品な味のするミニデザートとコーヒーが出た。これはもう格安。
わたしがオーナーならメニューに並ぶカレーの文字の下に「サラダ・デザート・お飲み物付き ※ルーとごはんは共にお代わりして頂けます」と書いて写真まで付けて店の外に置くだろう。しかし、そんなことをしなくても中は常に賑わっている。みんな一度食べればわかるのだ。





わたしが気に入っているのはチキンカレーに季節の野菜をトッピング。
彩り鮮やかな季節の野菜のそれぞれが美味しくいただけるベストの状態に調理されているので、ひとつひとつが味わい深く本当に美味しい。

我が家のカレーや洋食屋のカレー、インドカレーとは全く異なる、スパイシーな欧風カレーを無性に食べたくなったら、イゾラベーラに行くほかはない。

  

Posted by wacky at 17:28カレー

2012年07月04日

ピッツェリア ソーボー

初めて訪れた店で美味しい料理に出会ったら、つぎからもそのひと品を注文しつづける人がいる。夫だ。わたしは違う。だって、もっと美味しい料理があるかもしれないじゃないか!?
果敢に攻めて成功することもあれば、失敗することもある。失敗したときに隣でほくそ笑む顔は恨めしい。それでも、新しいものに弱いわたしである。

そのわたしがSOBOで注文するのはただひとつ。「水牛ミルクのモッツァレラチーズのマルゲリータ」である。窯で焼き上げられたピッツァは端っこが少しこげていて香ばしい。もちっとした生地にのる、程よい酸味と旨みのイタリアントマトと濃いミルクの味がするモッツァレラチーズのコンビネーションといったらたまらない。
夫はというと「生ハムとルッコラのピッツァ」に心を決めている。焼き上げたあとにのせられる生のルッコラの苦味と生ハムがマッチする爽やかなピッツァだ。
そんなわけでSOBOに二人で出かけると必然的にメニューが決まる。ほかも食べてみたいけれども、いやいやこのふたつを差し置いては・・・となってしまうのである。





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SOBOではテイクアウトもできる。事前に電話して予約した時間に取りに行けば、焼きたてのピッツァを渡してくれるのだ。

遠方から友人が遊びに来てくれたときによくこのテイクアウトを利用する。いつも食べているふたつ以外を注文する絶好のチャンスだ。そうして口にしたクアトロ フォルマッジ、パルミジャーナ ディ メランザーネ、キノコとベーコンのピッツァはどれも間違いなく美味しい。
ただ、やはり我が家のツートップはいまのところ変わっていない。


SOBOのピッツァを口にした友人たちは必ず、「こんなに美味しいピザが近くで食べられるのなら普通のデリバリーピザを取る気にはならないね!」と喜んでくれる。本当にその通り!

  

Posted by wacky at 13:41イタリア料理

2012年07月02日

オテル・ド・ヨシノ


和歌山に住んでいてよかったと思うこと。満員電車に揺られることなく徒歩で通勤ができる(野鳥に出会いながら)。日が長い。オテル・ド・ヨシノがある。

オーナーシェフの吉野建氏は本場のパリにもつ「ステラマリス」というレストランでミシュラン1つ星を獲得している。氏の奥様が和歌山出身だということで「オテル・ド・ヨシノ」が誕生したという。料理長は手島純也氏が務める。月に1度程度ある吉野氏が和歌山を訪れる日には氏のお料理が戴ける。





お料理は見た目が絵画のように美しく繊細で美味しい。かつてLismという和歌山のフリーペーパーにある料理のポートレートコーナーに手島料理長が提供したひと皿は煌びやかで息をのむ美しさだった。額に入れて飾るために保存しておかなかったことを悔やんでいる。
そして、オテル・ド・ヨシノでは食材の宝庫である和歌山が誇る数々の材料が申し分なく仕立て上げられている。それこそが吉野氏の掲げるテロワ(大地)の料理なのだろう。ランチで3千円から、ディナーは6千円からという価格は率直に言ってかなりのお値打ちだ。

前菜には加太や湯浅から届く新鮮な魚介類がさらりと並ぶ。秋になるとふわっとした栗のスープが出迎えてくれる。しかし、なんと言っても、「熊野牛のステーキ」の初めての一口目の感動は忘れられない。まずは香ばしく、あとから確かな旨みがやってくる。他にどんなに魅力的なお料理があろうとも、ジビエももちろん食べたいのであるが、ついメインに選んでしまう一品だ。

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これに関しては夫の悩みがある。彼は「熊野牛のステーキ」はもちろんのことであるが、付け合わせが気に入っている。じゃがいもが円筒状にくるくると巻かれていて小さなポテトグラタンのようで確かに美味しい。ところが、このくるくるはフィレに添えられているときもあればサーロインに添えられるときもあるのだ。彼は実のところ、フィレかサーロインか、よりも、くるくるが付いているか否かでメインを選びたい。しかし、「じゃがいもの付け合わせ、えっと、くるくるしてるの、アレはフィレとサーロインのどっちに添えられていますか?あっ、じゃあサーロインにします」というやりとりをする勇気がないのだ。
くるくるで料理を決める奇人を自らカミングアウトしてしまうことになるうえに、もし、万が一、人の良いスタッフから申し訳なさそうに「あいにく本日はどちらにも添えてございませんが・・・」と告げられたら、動揺してワイングラスを倒してしまうかもしれない。だから、彼はいまも変わらず「熊野牛のステーキ」が運ばれてきて銀色の蓋が開けられる瞬間にどきどきしている。

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「星をつかむ料理人」という吉野建氏の半生を描いた本が新潮社から出ている。レジカウンターにサイン本が置かれていたのでミーハーな私が思わず手にとると、手島料理長がこの本に出会って吉野氏に師事したことをお話してくださった。読むと、華やかな世界に生きる吉野シェフが大変な苦労人で努力家であることがわかる。そして、和歌山に偉大なシェフがいる「オテル・ド・ヨシノ」があることの幸運を深々と噛み締めるのだ。


【HP】http://hoteldeyoshino.com/  

Posted by wacky at 15:15フランス料理