2012年06月28日

Onomachi α


国の登録有形文化財である西本ビル。天井が高い鉄筋コンクリート製の部屋では昭和の時代に腕に布製カバーをはめたサラリーマンたちが忙しなく立ち回っていた様が目に浮かぶようだ。


カフェは2階にある。ソファが中心のゆったりとした空間である。色も形もばらばらのアンティークソファが不思議とひとつになって空間をつくり出している。
夏にはツンとミントが香る冷たいおしぼりがそっと差し出される。そして、ランチに頂けるオムライスは雑穀米でできていて優しい味がする。
ひとりで、或いは気の置けない友人と訪れて、時間を忘れて言葉少なにほっこりしてしまう場所だ。


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ここの方はモノの心がわかる。1階のギャラリーでアンティークの椅子の展覧会が開かれていたときにお話してくださった。「この椅子たちね、ここに来た夜は初めての場所に落ち着かなくてざわざわしていたんです。でも、1日経ったら落ち着いて。いまはもうこんなに馴染んでいる」。そう聴くと、もうずっと前からここにあった椅子に見えた。
そんな風にビルディングやソファの心に一生懸命耳を傾けて手入れしてきたからこそ、この空間が生まれて成り立っているのだ。


ピカピカの新品も良いけれど、だんだんと多少の傷はあるけれども大切に手入れされてきた古いものにも惹かれるようになってきた。新しいものにはない燻し銀のような輝きを放つ。

わたしもと思い、まずは家の掃除や手入れのときにいつもありがとうという気持ちを込めてみる。とは言っても、やはり一朝一夕にモノと意思疎通ができるようにはならない。Onomachi αはそんなわたしの心の師匠である。


【HP】http://www.onomachi.jp/



Posted by wacky at 11:47 │カフェ